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気づかざるは(鋼・ロイアイ)
ガンガンがまだ読めないでいるのですが、 リザと大佐がやっとお目見えしたということで。 久々のロイアイSSです。 ※恋人設定。 大佐がちょっと気持ち悪いくらいリザを好きです。
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気づかざるは
「君、わざとやってる?」
問わずにはいられなかった。 きょとん、といった風にこちらを見返してくる彼女に、いよいようんざりする。 「言い換えようか。わかりやすく」 「お願いします」 こともなげに受諾なんかして、後悔しろ。 「今夜君の家に押しかけるけど構わない?」 「おっしゃっている意味がわかりません!」
悲鳴のような抗議の声も、なんかもう、それとして聞こえない。 均衡も何もあったものじゃないな。
あ、と小さくつぶやいた君の震える手から、紙の束がすらすらと滑り落ちていく。 重厚な絨毯、赤一面に広がっていく白の上を、構うものか、踏みつけてわたる。
「たいさ、踏んでます」 「知ってる」 「ええと、やめてください」
君はつくづく先制攻撃に弱い。危なっかしい。 他の誰かにそんな風ににらみつけてみろ、一瞬でたいらげられてしまうぞ。 私は優しいからそんなことはしない、なんて思ってるのかもしれないけど、 実際そうありたいとは思うのだけど、
「何?その格好」 「は」 「誘惑?してんの?」 わざと砕けた、若者ぶった物言いで、彼女の耳をなぶる。 「おっしゃってる意味が」 わからないはずはなく、君自身、さっきからもぞもぞとむきだしの肩をうごめかせている。 そこにふっと息を吹きかけてやりたいという衝動を男なら誰だって、
そう恐ろしいことに誰だって!
演習で部下とともに泥をかぶっただか予備の上着の支給が追いつかず「私は結構」と 遠慮しただかしらないが、タンクトップという名がついていても所詮はアンダーウェアー、 下着のようなもの一枚でうろうろしている君を、極力執務室から出さないように心がけて いた私の数時間の苦心をみとめてほしい。
「素直に私の上着を羽織ってくれてればこんなことにはならなかったんだ」 「最近クリーニングに出されてないでしょう、ちょっと、臭うんですよ?」 「そういうことを言っちゃうあたりが、すごいんだよなあ」 「事実です。帰りに出していきましょうね」 「一緒に帰る?」 「押しかけられるよりは」 「いいね素直な君って」 新鮮でしょう、と返しながらも目が泳いでいるあたり、本当に素直だ。 これから数時間のちに君にもたらされるであろう様々を思えば、当然なのかも。 だがそれにしたってこの年頃にしたら素直だ。 なんだかんだで職場で手を出したことが(ほとんど)ないのも、そんなことをしたら こんなにも純朴な君の有能さを損なってしまいかねないと、一抹の不安を感じているからだ。 事実、ずっと前、執務室のカーテンにくるんで熱いキスで閉じ込めただけで、それから一週間、 君は窓際に近寄れないどころかカーテンを視界に入れるたびに耳を赤くしていた。 悪いことをしたなと頭をかいたものだ。 だから、やさしい私は、 「言い換えようか、わかりやすく。いいねやらしい君って大好きだ」 ぎゅっとつむられた瞼に口づけるだけで、今は満足しておく。
瞬間、小ぶりの唇からこぼれたため息の艶っぽさといったら。
本当、わざとやってるんじゃないか。
/end
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